ずいぶん長い間、ブログから遠ざかっていました。
いろいろ精神的にきつかったこともあり、
自分から仕事以外に何か、発信する気力が無く・・・・・・。
それでも今、何か一つ、トンネルを抜けたような思いです。
4年越しの取材がついに1冊に結実、本日、店頭に並ぶことになりました。
この高校の取材を開始したきっかけは2012年に、
生活保護の世代間連鎖をテーマにした取材で、
18歳の未婚の母と出会ったことでした。
彼女は母子家庭で、母は生活保護を受けていました。
自分は母のようにならないと中堅高に進学、がんばっていたのですが、
高2の終わりに同級生の子を妊娠、高校を中退し、
生活保護を受けながら、頼りにならない母と子育てをしていました。
彼女の物語をあるメディアに書いたのですが、
現状を伝えたに止まり、解決策は何も示すことはできませんでした。
知り合いの紹介でその高校の存在を知り、
校長先生の話を聞いた時、ハッと思いました、あった!
あった、ここに解決策が!と。
彼女がもしこの高校に在籍していたら、
妊娠しても退学することも無く、先生たちに支えられ、
子どもを抱えながらも自立への道を歩めたはずなのに・・・・・・と。
ここが取材の起点でした。
ここに「子どもの貧困」に対する有効な解決策があるという確認に導かれ、
苦しい子どもを支え、自立に向けて支援していく高校の存在を、
ぜひとも、全国の方達に伝えたいーーその一心で取材を続けてきました。
なぜ、そこまで感情的にのめりこんだのか、
それは私自身がシングルマザーで、フリーという非正規労働に従事する、
「苦しい母親」であり、私の2人の子どもも学費をすべて奨学金で賄い進学した、
「苦しい子ども」であるからかもしれません。
すべてが「自己責任」とされるこの社会において、
どんなに経済的に苦しくても、「助けて!」など、
周囲に言えるわけがありません。
言った途端、レッテル貼りが始まります。
それなのにこの高校では、
わが家の子どもよりはるかに困難な状況にある子どもたちに、
「助けて」と言っていい、言える環境を作ったのです。
そして学校総体あげて、その苦しさを何とかしようと、
手を差し伸べ、受け止めてくれるのです。
私はここに、確かな希望を見たのです。
本当は高校は実名で、生徒以外の大人もまた実名でと考えていたのですが、
10年前の高校生であっても特定される可能性があることから、
高校名も地名も、登場人物もすべて仮名としました。
生徒のプライバシー保護の観点から、
若干の脚色も加えてあります。
しかし、基本はすべて事実に基づく物語です。
高校こそ、困難な環境にある子どもたちを把握し、
支援につなげることができる、最も有効な機関なのだと考え、
生徒を支援し、社会での居場所=正規雇用へと、
卒業で終わりにしない伴走支援を行う高校が、
現に、この日本に存在するのです。
ここに全国の課題集中高が目指すべき姿があることを確信します。
合言葉は、すべては生徒のためにーー。
虐待、貧困、一人暮らしなど生きることもままならない子どもたちを、
教職員たちが全力で支えた、9年に及ぶ闘いの記録です。
アツい教師たちと、愛おしくてたまらない生徒たちに、
ぜひ、ページを繰って会って欲しいと思います。

黒川祥子
主に家族や子どもの問題を中心に、取 材・執筆活動を行う。
2013年、『誕生日を知らない女の子 虐待~その後の子どもたち』(集英社)で、第11 回開高健ノンフィクション賞受賞。
他の著作に『子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち』(集英 社)、橘由歩の筆名で『身内の犯行』(新潮社)ほか。
息子2人をもつシングルマザー。

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私は、東京学芸大学で養護教諭の養成を行っている教員です。
現在進行形で県立!再チャレンジ高校を読み、様々考えさせられているところです。
「高校の多様化と養護教諭の課題」(仮)といった感じで問題提起する論文の構想を練っています。
また、子宮頸がんワクチンの件も、専門が医療社会学なので、とても興味を持っております。
当講座では、養護教諭の卵たちに向けて、いのちの大切さを考える自主講座を企画してきました。
参加者は決して多くなく薄謝ですが、大学の自主講座でお話をして頂くことはできるでしょうか。
お返事頂けると幸いです。
とてもお忙しいことと推察いたしており、無理であればご放念下さい。
ご連絡をありがとうございました。
先ほど、メールを出させていただきましたが、
ありがたく、お受けさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
黒川祥子