ようやく、ここまで

たった今、福島原発事故をテーマにした本を脱稿した。

仮タイトルは、『心の除染』。

私のふるさと・福島県伊達市の、市長の名言をいただいた。

実際に生活圏を除染するのではなく、心配に思う「心」を除染するのだとして、

伊達市は未だ、市域の7割を「する必要がないほど線量が低い」として、

局所を5センチ削るだけの「除染」を行い、「放置」している。

それは非合理で、社会的経済的にする必要がない、

「無駄な除染」だと。

全国の納税者の皆さまに申し訳がないと。

 

このような行政のもとで、親たちはどうやって子どもを守ってきたのか、

5年半に及ぶ歩みをつぶさに追った本となった。

一方、伊達市は「除染先進都市」として、

IAEAの会合に市長が招聘され、スピーチを行うなど、

国際的な原子力推進機関から高い評価を得ている。

今回、その内実を探るべく、情報公開請求という、

私には似合わない「調査報道」的アプローチも試みた。

そしてそこから、えげつない裏側も見えてきた。

 

放射性物質に汚染されたふるさと、そこに生きる人々を描くという、

自分には重すぎるテーマにいつ、肝が座ったのか。

いつ、クールに筆先が落ち着いたのか。

多分、そんなに遠くない時点、つまり最近かも。

9月から他の仕事もしつつ、書きに書いた586枚。

 

そもそもの始まりは2011年9月、ここまで来れたのは奇跡のようだ。

でも、ようやくここまでたどりついた。

原発事故を、被爆の危険性を、東京オリンピックに向けて、

「ない」ものにしようとする動きに抗する、ささやかな試みとして、

伊達市に生きる人々の5年半を見てほしい。

発行は来年2月末。まだまだ作業は続くけれど、

うん、今日はとりあえず、一人、祝杯を上げよう!

外に飲みに行く贅沢は、お財布が許さないので(泣)。

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黒川祥子

黒川祥子

東京女子大学史学科卒業。弁護士秘書、業界紙記者を経てフリーに。
主に家族や子どもの問題を中心に、取 材・執筆活動を行う。
2013年、『誕生日を知らない女の子 虐待~その後の子どもたち』(集英社)で、第11 回開高健ノンフィクション賞受賞。
他の著作に『子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち』(集英 社)、橘由歩の筆名で『身内の犯行』(新潮社)ほか。
息子2人をもつシングルマザー。

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